メンタル疾患を持った二人で同棲をはじめることはあると思います。とくにSNSやマッチングアプリなどで知り合い、どちらか一方が遠方から身を寄せ同棲を始めることもありうるでしょう。そのような場合には環境の変化を伴います。
同棲生活を失敗しないためにメリットとデメリットをしっかり理解しておきたいですね。
同棲を始める背景や動機
同棲を始めるに至った動機や背景は様々なものがあると思います。
お互いが好き同士で居てもたっても居られず同棲を開始するパターンもあれば、一緒にいることで体調が安定したり安心感を得られることに重きを置き、同棲に至る場合もあります。
また、お互いが一人暮らしをするよりも二人で同棲をはじめたほうが良いという経済的理由や生活の利便性によるものもあるでしょう。
忘れてはならないことは、価値観の異なる他人同士が一緒に暮らす以上は意見が衝突することがありうるということです。加えて、メンタル疾患を持っている場合には同棲をしていくなかで体調の悪化を伴うことがあります。それを踏まえた上で、同棲の準備を進めていく必要があります。
メンタル疾患を持つ者同士が一緒に暮らす意義とメリット
お互いに理解し合える
メンタル疾患を持つ者同士が一緒に暮らすメリットは、第一にお互いに理解し合えることがあると思います。同じような境遇を経験してきた者同士、気持ちが分かったり、症状について理解があるということは、一緒に暮らしていくうえで心強いものがあります。
ただし、お互いが全く同じ病気で、全く同じ症状であるということは少ないため、相互に理解を深める努力が欠かせないと言えます。
また、どちらか一方、あるいは双方が重度の症状がある場合や強い発達障害の症状を持っている場合には、メンタル疾患を持っているという境遇がマイナスに働く可能性も捨てきれません。この点においては、どの程度お互いが居心地の良さを感じているか、相性にもよるでしょう。
支え合うことで孤独感が軽減
メリットの第二は、支え合うことで孤独感が軽減することです。メンタル疾患を抱えているとどうしても孤独感を抱きやすいです。それはセロトニンなどの神経伝達物質が関連していますが、パートナーと支え合うことでオキシトシンという幸福物質が生まれるので孤独感を軽減できます。
また、お互いが相手の役に立っているという対等な関係性は自分の存在を肯定する要素でもあります。この関係性が、例えば自分はメンタル疾患持ちなのに相手は高収入でなんでもできちゃうハイスペックな人間だとしたら、劣等感を抱いてしまい対等な関係ではいられなくなるでしょう。
お互いが同じような境遇にいることによってお互いに心を満たしていると言えます。
共同でケアを行うことでの相乗効果
メリットの第三に共同でケアを行うことでの相乗効果があります。
同棲生活は二人がメンタル疾患と向き合う中で培ってきたヘルスケアの知識を共有しやすい環境と言えます。
例えば、ダイエットを行う場合、パートナーがウォーキングやジョギングを行っていたり食事制限をしていると、その生活習慣に合わせてもう一方もダイエットを始めやすくなるでしょう。同様のことがメンタル疾患のケアでも起こる可能性があります。
特に顕著に出るのが食生活でしょう。2人で生活する以上は同じ食事を摂るのが一般的です。栄養面に配慮をした食事を摂ろうとすれば、2人共同じ食事の習慣になりますから、メンタル疾患のケアを実施する上でより良い効果を生むでしょう。
メンタル疾患を持つ者同士が一緒に暮らすデメリット
メンタル疾患を持つ者同士が同棲することには多くのメリットがある一方で、デメリットも存在します。以下に、主なデメリットを3つ挙げて説明します。
相互の症状の悪化リスク
一方が不安定な状態になると、その感情がもう一方に伝わりやすく、相互に悪影響を与える可能性があります。感情の伝播を防ぐためにはそれぞれが自由な空間を持つようにしたり、適切な距離感を保って同棲生活を送る必要があります。
また、双方が精神的に不安定な場合、互いを支え合うことが難しくなり、支援の不足が問題になることがあります。互いの症状が重なることで、日常的なストレスが増加し、結果的に双方の症状が悪化することも起こり得ます。しっかりと治療体制を確立し、症状が悪化した場合にどのような対処を行うか事前にプランを立てておくと良いでしょう。
家事や生活管理の困難
一方が家事や生活管理を担う余裕がない場合、もう一方に過度な負担がかかりやすくなります。厳格に定める必要はありませんが、家事や生活管理における役割分担は事前に決めておきたいです。また、症状が悪化した場合などに備えて柔軟に対処できるような工夫も必要です。
病気の影響で収入が不安定な場合、経済的な不安が増し、生活全般にストレスがかかります。経済的不安がベースにあると、些細なトラブルが精神的に大きな負担となり、関係にひびが入ることもあります。同棲生活を始める前にある程度の貯金をためておくことや、もしものときに金銭的援助が受けられる関係先の存在があると精神的に安心できるでしょう。
治療やサポートの難しさ
二人の治療方針が異なる場合、それぞれの治療に専念するのが難しくなることがあります。例えば、一方がカウンセリングを重視し、もう一方が薬物療法を重視する場合、その違いが生活リズムや家庭内の環境に影響を与えます。
また、 一方の治療に集中するための時間や空間が確保できず、もう一方の存在が無意識にプレッシャーやストレスとなることがあります。例えば、家で休養が必要なときに、もう一方の治療のために外出しなければならない場合があります。
まとめ
メンタル疾患持ち同士の同棲には、相互の症状の悪化リスク、日常生活の負担増加、そして治療やサポート体制の調整の難しさなどのデメリットもあります。
同棲を検討する際には、これらのリスクを理解し、事前に対策を講じることが重要です。お互いの健康と幸福を最優先に考え、無理のない形で同棲生活を進めていくことが求められます。